取手の町
現在の取手は東京のベッドタウンとして人口の多い都市
になっていますが、かつては水戸街道沿いの宿場町で、
それほど大きな町ではなかったようです。
平将門の伝説なども残る町です。
古くは、下総の国の相馬郡であり、東葛飾郡の入っていた
葛飾郡とは同じ下総の国ではありましたが、違う郡だったわ
けです。ちなみに、我孫子は、葛飾郡ではなく、相馬郡だった
ようです。
坂口安吾 『日本文化私観』
「 三年前に取手という町に住んでいた。利根川に沿うた
小さな町で、トンカツ屋とソバ屋の他に食堂がなく、僕は
毎日トンカツを食い、半年目には遂にうんざりしたが、
僕は大概一ヶ月に二回ずつ東京へでて、酔っ払って帰る
習慣だった。尤も、町にも酒屋はある。然し、オデン屋とい
うようなものはなく、普通の酒屋で、框へ腰かけてコップ酒
をのむのである。これを『トンパチ』と言い、『当八』の意だ
そうである。」 (1942年初出)
新潮文庫 『堕落論』 所収
Good Study 良学舎